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なぜカウンセリングは苦しくなるのか?やめたくなる「二つの落とし穴」と5つのチェックポイント

 

額に手を当て考え込む女性と話しかける男性

 

この記事のポイント(要約)

 

カウンセリングが苦しくなる「二つの落とし穴」 

一つ目は、「変えがたい自分」をカウンセラーに「なおそう」とされるとき。二つ目は、「変えがたい自分」を相談者自身が「なおしたい」と思うとき。
 

「二つの落とし穴」が生まれる原因

私たちの住むこの社会は「問題消去型」のため、多くの悩み相談は、悩みを解消し「ふつう」に戻すこと(=なおすこと)を前提としている。そのため「変えがたい自分」さえも「なおそう」としてしまい、二つの落とし穴が生じてしまう。
 

「なおす」の限界を知る

「変えがたい自分」をなおそうとすることは、自分自身を全否定することになり、さらなる苦しみを生み出す結果になりかねない。だから「変えがたい自分」に直面したら、それを受容していくことが大切。
 

カウンセリングが苦しいときの5つのチェックポイント

「この苦しさは自己受容のタイミングではないか?」と客観的に判断するための具体的なチェック項目と利用方法を紹介。
 


 

┃執筆・監修
生きづらさ専門カウンセラーしのぶかつのり

日本トランスパーソナル学会理事
セロトニントレーナー(有田秀穂・東邦大学名誉教授認定)
著書:『生きづらさから脱け出す実践法』(コスモス・ライブラリー)

【略歴】 幼少期の虐待、植物嫌悪症、重度のうつ病、精神障害者手帳の取得という絶望の淵から、脳生理学・心理学・環境設計を融合させた独自の回復メソッド「三理一体の法則」を体系化。東邦大学医学部名誉教授・有田秀穂博士の査読を受けた論文を上梓。自身の当事者経験にもとづいた「超・当事者目線」のカウンセリングを提供し、延べ8,000件以上の相談実績をもつ。現在は、脱世間起業塾「Adic」やオンラインサロンを主宰し、社会に適応できず苦しむ人々が「生きづらさをチカラに変える」ための支援をおこなっている。
 


 
「以前、カウンセリングを受けていたんですが、途中で苦しくなってしまってやめてしまったんです・・・」
 
そんなご相談をよくお聴きします。
 
はじめのうちは、カウンセラーに話を聴いてもらえて気もちが楽になっていた。
 
しかし、だんだんとカウンセリングを受けたあとに落ち込むことが増えてきた。
 
やがて、カウンセリングを受けている最中にも息が詰まるような感じがしてきた。
 
そして、カウンセリングを受けるのが嫌になりはじめてきた。
 
ついには、カウンセリングが苦痛に感じられてキャンセルしてしまい、それ以来そのカウンセリングを受けることはなくなった・・・。
 
たしかに、楽になりたくて相談しているはずなのに、苦しくなっては本末転倒だと感じますよね。
 
カウンセリングをやめてしまうのも無理のないことです。
 
そのように、カウンセリングが苦しくなってしまったという方のご相談を12年にわたりお受けしていて気づいたことがありました。
 
それは、苦しくなるカウンセリングの「落とし穴」が大きく分けて二つあるということでした。
 
そして、その二つの落とし穴は、生きづらさに悩み苦しんできた私自身が、人に相談したときに感じていた苦しさと重なることに気づきました。
 
今回は、その「カウンセリングが苦しくなる二つの落とし穴」について、苦しんできた当事者とカウンセラーという両方の立場から実体験を語ってみたいと思います。
 
だから、この二つのポイントは、一般的に語られている「カウンセリングが苦しくなる原因」とは、まったく別のものです。
 
なぜかカウンセリングが苦しい、つづけていくといつもカウンセリングが苦しくなっていってしまうと感じておられるあなたのお役に立てば幸いです。
 

 
誰かに相談したい。
 
でも、身近な人に言うのは少し怖い。友人や家族に相談すれば、心配されたり、励まされたり、ときには「そんなに深刻に考えなくてもいいよ」と言われるかもしれない。
 
一方で「やっぱりカウンセリングかな」と思っても、料金や相性の不安が頭をよぎる。
 
わざわざお金を払ってまで相談する意味があるのだろうか、と。
 
こうして多くの人が、友人・家族に相談するか、カウンセリングを受けるかその二択のあいだで迷っています。
 
実際、この二つはよく比較されますし、それぞれにメリットもデメリットもあります。
 
ただ・・・、
 
ここで一つ、あまり語られていない現実があります。
 
それは「どちらを選んでもうまくいかない人」がいるということです。
 
話してもスッキリしない。
 
理解された感じがしない。
 
むしろ相談したあと、前より孤独を感じてしまう。
 
そこでこの記事では、次の順番でわかりやすく解説していきます。
 

  1. 友人・家族への相談と、カウンセリングのメリット・デメリット
  2. それぞれが向いている悩み・向いていない悩み
  3. そのどちらでも行き詰まりやすい人の特徴
  4. その場合に有効な第3の解決策

 
もしあなたが、
 
「誰かに相談してきたはずなのに、なぜかずっと楽になれない」
 
そんな感覚を抱えているのなら。
 
この先の話は、あなたに新たな人生の希望をもたらすものになるでしょう。
 


1.結論:カウンセリングが苦しくなる二つの「落とし穴」

 
二つの落とし穴の写真

 
今回ご紹介する「カウンセリングが苦しくなる落とし穴」は、次の二つです。
 
1.「変えがたい自分」をカウンセラーに「なおそう」とされるとき

2.「変えがたい自分」を相談者自身が「なおしたい」と思うとき

つまり、もはや変えられない自分の性質に直面しているにもかかわらず、カウンセラーやご相談者さんが「それでもなおそう」という無理をしている。

双方の認識が食い違っていることもありますし、双方ともに「変えがたい自分」に直面していることに気づいていないケースもあります。

状況はさまざまですが、「以前、カウンセリングを苦しくてやめてしまったことがある」と語られるご相談者様の多くは、この二つのポイントに耐えかねてカウンセリングをやめています。

それぞれのポイントついて、わかりやすいように事例を交えて詳しく解説していきます。

もちろん、ご相談者様のお話をそのままご紹介するわけにはいきませんので、いくつかのケースを組み合わせ、さらにご本人とわからないように変更を加えている点は、あらかじめご了承ください。
 

2.【落とし穴1】「変えがたい自分」をカウンセラーに「なおそう」とされるとき

 

眉間にしわを寄せて化粧品を売る女性

 

┃人の目が気になるという「変えがたい自分」に気づいた直美さん

 
直美さん(仮名)は、化粧品の販売員をされており、長年、人の顔色をうかがってしまうことに苦しんできました。

相手の表情が少しでも曇ると、

「なにかまずいことを言ったのでは」

と冷や汗が出ます。

そのため、人と会うどっと疲れて、毎日家に帰ってもなにも手につかないような状態がつづいていました。

このままでは心身がもたず、あこがれの職業だった化粧品の販売員を辞めなければいけないかもしれない。

追い詰められた直美さんは、精神科を受診し、薬を服用してみたものの状態は変わりませんでした。

そこで、カウンセリングを受けてみることにしたのです。
 
自分の話すことをじっと受け止めてもらい、心が楽になることに手応えをおぼえて、しばらくかよってみることにしました。

そして、徐々に、自分が子供の頃から人の目を気にして苦しんできたこと、親の顔色をうかがって生きてきたことに気づきました。

カウンセラーは直美さんに、そのような幼少時代の体験が人の目を気にする原因だと伝え、その認知を変えることを提案しました。

人の目が気になるのを「なおす」ことにしたのです。

直美さんはその提案に希望を感じていました。

「原因がわかったのなら、変えられるのかもしれない」

そう思えたからです。

そして、相手の表情が曇るのは自分が悪いとはかぎらない。

子供の頃の環境でついた癖がそうさせただけで、今の自分の責任であるはずがない。

そのように認知を変えていきました。

しかし、それでも人の目が気になることは変わりませんでした。

1年ほどつづけたある日、直美さんは、「人の目を気にするのは、もともともっている自分の特性のようなものだ」と感じるようになっていました。

人の目を気にするということは私の一部であって、もはや「変えがたい自分」なのではないか?

そう思うようになってカウンセラーに伝えてみたのです。

でも、カウンセラーは「あきらめないで頑張ってみましょう」と直美さんを励ましてくれます。

そして、つらい過去と決別するために、子供の頃の苦しかった体験を紙に書き出し破り捨てましょうと提案しました。

カウンセラーの励ましに背中を押され、直美さんはカウンセリングの場で、嫌な記憶を思い出してはそれを紙に書き出し、破り捨てていきました。

そのたびに、直美さんは苦しさを感じるようになっていました。

嫌な記憶を呼び起こすからというのも、もちろんありました。

しかしそれ以上に、なにか自分が必死に頑張ってきた過去を自分で全否定しているような気もちになっていたのです。

人の目が気になるという「変えがたい自分」で必死に生き抜いてきた記憶。

それは、まるで自分自身そのものを破り捨てるような思いがする。

そうして直美さんは、人の目が気になるというのは「なおす対象」じゃないのではないかと感じるようになっていたのです。

そんな自分が化粧品の販売員という、たくさんの人と触れ合う仕事を選んでいること自体に無理があるのではないか・・・、と。

それでもカウンセラーは、「まだいろいろな方法があるから大丈夫です」と、直美さんを励ましてくれます。

やがて、直美さんはカウンセリングの予約をキャンセルするようになっていきました。

そしてついには、カウンセリングを受けるのをやめてしまったのです。
 


┃なぜ直美さんはカウンセリングを受けるのをやめてしまったのか?


この事例。

外側から見ていると、直美さんがカウンセリングを受けるのをやめてしまったのは、人の目が気になるという悩みを解消できなかったからだと判断されやすいケースだと思います。

つまり、カウンセラーが直美さんを「なおせなかった」から、直美さんがカウンセラーに愛想を尽かせてしまったのだ、と。

もしかすると、このカウンセラーさん自体も、そのように感じて落ち込んでいるかもしれません。

「なおしてあげられなかった」と。

でも、直美さんは途中から、人の目が気になるのは「変えがたい自分」だと気づきはじめていました。

そして、その自分が接客業をやるのは無理があると、自分で自分を受容しようとしはじめていたのです。
 
カウンセラーは、そのタイミングを見逃してしまった。

そして、人の目が気になる「変えがたい自分」を無理に変えようとしてしまった。

つまり、「変えがたい自分」を受け容れざるをえないタイミングなのに「なおそう」とされつづけてしまったのです。

変えられないものを変えようとするわけですから、それはとても苦しい体験です。

たとえば、柔軟体操で開脚していて「これ以上広がらない」と限界を感じているところを、グイグイ押されているも同然です。

カウンセリングがつづけられなくなるのも、無理はありません。

カウンセラーも善意で「なおそう」としているぶん、直美さんもこの食い違いに気がづきにいくし、気づいたとしてもいいにくい。

このようなお話をうかがうたびに、私自身も気をつけなければいけないとつくづく思います。

では次に、カウンセリングが苦しくなるポイント2の事例を見ていきましょう。
 


3.【落とし穴2】「変えがたい自分」を相談者自身が「なおしたい」と思うとき

 
オフィスで頭を抱える男性

 

┃繊細な自分を「なおそう」とした正樹さん

 
正樹さん(仮名)は、30代で日本の有名企業に勤めています。

教育環境に恵まれない地域に育ったにもかかわらず学生時代から成績も優秀で、今の職場でも出世街道に乗ることができていました。

しかし、あるとき上司からみんなの前で強く叱られ、それ以来、会社に行くのが怖いと感じるようになったのです。

その恐怖心は強くなるいっぽうで、上司の顔もまともに見られなくなっていきました。

いろいろとネットで調べてみると、上司の態度はパワハラだといえそうだ。

確信した正樹さんは、かよいはじめていた精神科で診断書を出してもらい、休職することにしたのです。

ただこの決断は、出世を目標にしていた正樹さんにとって非常に重く、大きな挫折でもありました。

「なんとかして、一日でも早くもとの状態に戻らなければ」

そうして正樹さんは、ネットで自分と同じような悩みの解消法を書いていたカウンセラーを見つけ、そのカウンセリングを受けることにしたのです。

そこで相談してすぐ、どうして自分がその上司が苦手になってしまったのかという仕組みが見えてきました。

ずっと優秀だったけど人とうまく接することができない自分。

その自分にとって優秀であることだけが、自分の支えになっていた。

それをみんなの前で打ち砕かれることは、本当に耐えがたい恐怖だった。

でも、もうそんな苦しい支えは取り払って、ありのままの自分で生きていけばいい。

人と接するのが苦手な自分、ミスだってする自分、その自分で堂々と生きていけばいい。

そもそも、そんな叱り方しかできない上司にも問題があったのだ。

そんな解放感につつまれ、苦手だった上司とも自然と接することができると感じられるようになりました。

じっさいに、休職を終え、職場に戻って仕事をはじめ、その上司とも挨拶ていどなら交わせるようになったのです。

「もう大丈夫。」

そう感じた正樹さんは、仕事のペースは落としたものの、また出世街道を走りはじめました。

しかしカウンセラーは、止めました。

なぜなら、カウンセリングをつづけるなかで、正樹さんの繊細な心は「変えがたい自分」であり、考え方やものごとのとらえ方を変えただけで「なおる」ようなものではないのではないか、と感じていたからです。

つまり、正樹さんはもっとも肝心な「繊細さ」や「繊細な自分に出世街道は無理」という部分を、受け容れきれていないのではないか・・・。

そのまま出世街道に戻るのは危険だ。
 
今、調子がよくなっているだけで、繊細なあなたが変わったわけではない。
 
もう少し慎重に様子を見ながら判断した方がいい。

カウンセラーは、ときに強い口調も含めて説得をくり返しました。

でも正樹さんは、その話には耳を傾けることができませんでした。

自分はここまで「なおった」。

だから、その繊細な部分も「なおす」ことができる。

やがて正樹さんは、カウンセラーと話をするのが苦痛になり、カウンセリングを受けるのをやめてしまいました。

そのわずか一ヶ月後。

正樹さんは、またしてもその上司の心無い一言によって、心を砕かれ、休職することになってしまったのです。
 


┃なぜ正樹さんはカウンセリングを受けるのをやめてしまったのか?


出世街道を手放すというのは、言うほどかんたんではありませんよね。

「なおしたい」、そして出世街道に一日でも早く復帰したいという正樹さんの気もちはもっともです。

とくに、人付き合いが苦手だった正樹さんにとって「優秀であること」が、自分の心の支えだったわけですから。

一度は手放したつもりでも、いつの間にか知らずしらずのうちにその支えを手にしてしまうのは、誰にでもあることでしょう。

カウンセラーは、正樹さんの繊細さという「変えがたい自分」を見出しはじめていて、「受容」するタイミングだと感じていた。

しかし、正樹さんにとってそれは認められないことだった。

それを認めてしまえば、自分が出世街道に戻れなくなることがわかっていたから。

つまり「優秀であること」という支えを失ってしまうと思えたからです。

それは、とても過酷なことですよね。

だから、繊細だという「変えがたい自分」をどうしても受け容れる気にすらなれなかった。

そうして正樹さんは、カウンセリングを苦しいと感じるようになり、カウンセリングを受けるのをやめてしまったのです。

こうして書いていて、しみじみ思いますが、「受容」というのは本当に難しい体験だなと思います。

私自身の生きづらさを振り返っても、本当にそう感じます。

「受容」というと、どこか優しい響きがありますが、じっさいにカウンセリングをしていると、「受容」ほど過酷なものはないと思えるほどです。

だから、「受容」するタイミングが来てもどうしても「なおしたい」と思ってしまうのは、とても自然なことなのだと感じます。
 


4.なぜカウンセラーも相談者も「なおそう」とするのか?

 
東京の夜景

 
とはいえ、なぜここまでカウンセラーも相談者さんも、変えがたいものを「なおそう」としてしまうのでしょうか?
 
それは私たちの住む日本が「問題解消型の社会」だからです。
 
つまり「都合の悪いものは消してしまおう」という考え方の社会のなかで、私たちは生きているということ。
 

参考記事
日本社会で生きづらい人が苦しんでいる本当の理由
問題解消型の社会が生きづらい人をさらに生きづらくしている悪循環について詳しく解説しています。


問題解消型の社会では、あらゆるものが「なおそう」とされます。

問題があれば、あるべき理想の姿、あるべき理想の場所へ戻そうとする。

「なおそう」とするのです。

熱が出たら薬を使って下げようとしますし、子供向けのヒーロー番組でも、悪の秘密結社は最終的に消滅させられます。

そして、それは個人の性質にまでおよんでいるのです。

たとえば、

人付き合いが苦手なら、コミュニケーション力を上げよう

落ち込みやすいなら、前向きに考えられるようにしよう

自信がないなら、自信をつけよう

傷つきやすいなら、気にしない性格になろう

自己否定するなら、自己肯定感を高めよう

仕事がつらいなら、やりがいを見つけよう

などなど。

問題をそのまま「受容」しようという選択肢がない。

とにかく、問題を消し去ろうとする。

そのために、なににおいても「なおそう」とするのが大前提になっているのです。

だから、不登校なら学校へ行けるようにするのが大前提。

休職したら、同じ職場に復帰するのが大前提になるわけです。

私たちも、すっかりそれに馴染んでいます。

しかし、それが「なおる」ものでなかったとしたら?

その人自身の「変えがたい自分」であり、その人をその人たらしめる性質そのものなのだとしたら?

「なおす」ことは、当人にとって非常に苦痛になってきます。

その対象が社会と真逆の性質である場合はなおさらです。

先ほどの直美さんのように、人の目が気になるのを無理やり「なおそう」として苦しくなる。

同じく正樹さんのように「繊細さ」を無理やり「なおそう」として大ダメージを負ってしまう。

本を読んでも、テレビを見ても、ネットを見ても、相談しても、とにかく「なおす」ことが前提になっているために、多くの人が苦しみつづけているのです。

もちろん、「なおす」こと自体が悪いわけではありませんよね。

「なおす」を最優先で試した方がいい場面はたくさんあります。

痛みがあるなら鎮めた方いいですし、業務のミスがあるなら改善した方がいいでしょう。

しかし、どこかであきらめて「受容する」という選択肢のないまま「なおそう」としつづけてしまう社会。

この状況が問題を悪化させていき、カウンセリングを受けることが苦しくなってしまう大きな原因にもなっているのです。
 


5.これまで相談した人たちは、私を「ふつう」にしようとしていた

 
なん人ものご相談者様から、同じ言葉を聴いたことがあります。
 
<これまで相談した人たちは、私を「ふつう」にしようとしていた>

つまり、自分はこの自分で生きていきたい、そのために相談しているのに、なぜか自分を「なおす」話にすり替わっている。

じつは私自身も、ずっとそうでした。

世間になじめず、人からも変わっていると言われ、ささいなことでショックを受けて外に出るのも怖くなる。

「異物」として生きるのに、ほとほと疲れ果ててしまった。
 

参考記事
異物として生きて
世間に馴染めず苦しみつづけた私の人生とその解決策をご紹介しています

 
だから、このままの自分で生きていきたいだけなのに・・・、相談をすると、

「もっと前向きに考えなよ」

「人の目なんて気にしなきゃいいじゃん」

「嫌なことは忘れて寝ちゃえば?私はそうしてる」

「あなたよりもっと大変な人がたくさんいるんだよ」

「〇〇療法を受けてみたら?」

と、「ふつう」になるようにアドバイスをされる。

極めつけには、

「そんな塞ぎ込んでるなんて、あなたらしくないよ」

と、「ふつう」に当てはめた自分らしさを強要されてしまう。

それを聴くたびに、違和感を覚える。

なにか「前提」が間違っている。

私は私を「受容」しようとしている。

でも周囲は私を「なおそう」としている。

もちろん相手は善意で言ってくれている。
 
それにはすごく感謝はしているものの・・・・。
 
釈然としない。

そしてこのような事態は、カウンセラーに相談しても起きうることなのです。

たしかに、話をしっかり聴いて受け容れてくれている。

でも、「休職している」と言えば、知らずしらずのうちに「復職」することを前提に会話が進んでいく。

「人の目が気になる」と言えば、気にしないようになることを前提に話しが進んでいく。

せっかくこちらの苦しみを受け容れてくれているのに、そのもっと手前の「前提」がずれてしまっているのです。

そのために、カウンセリングが進んでいくと、その「前提」のズレが積み重なって溜まっていく。

やがて苦しくなって、カウンセリングがつづけられなくなることもあるのです。
 


6.カウンセリングが苦しいなら、この5つをチェック!

 
そこで、カウンセリングが苦しくなってきたときは、次の5つの点をチェックしてみてください。
 
1.この苦しみは「変えがたい自分」ではないだろうか?
 
2.今「変えがたい自分」を受け容れるタイミングではないだろうか?
 
3.カウンセラーが「変えがたい自分」を「なおそう」としていないか?
 
4.自分自身が「変えがたい自分」を「なおそう」としていないか?
 
5.そもそもカウンセラーが「なおそう」という前提に立っていないか?
 
いかがでしょうか?
 
もし一つでも当てはまるなら、まさに今、あなたには「自己受容」するタイミングがきているのかもしれません。
 
「変えがたい自分」を受け容れて、今の自分のままで生きていくタイミング・・・。
 
口で言うのはかんたんですが、なかなか難しいですよね。
 
ですので、私のメルマガでは「変えがたい自分」を受容した人たちの実体験を、週に1~2回配信しています。
 
私自身のことをお話しするときもありますし、ご相談者様ご自身が語ってくださることもあります。
 
「変えがたい自分」を受容するにはこうすればいいのか、と具体的にわかりすぐに役立てていただけると思います。
 
無料で登録できますので、ぜひ一度読んでみてくださいね。
 
 
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7.よくある質問(FAQ)

 
ここで「カウンセリングを受けて苦しくなる」と悩んでいる方から、よくお受けするご質問に回答したいと思います。 

Q1:カウンセリングを受けていて、以前より苦しくなるのは異常ですか? 

A1:いいえ、異常ではありません。それはあなたが「変えがたい自分」に直面し、自己受容が必要なタイミングに来ているサインかもしれません。とくに、自分やカウンセラーが無理に状態を「なおそう」としているときに、心の拒絶反応として苦しさが生じることがあります。
 

Q2:良いカウンセリングと苦しくなるカウンセリングの違いは何ですか? 

A2:大きな違いは「前提」にあります。多くのカウンセリングは「問題を解消し、ふつうに戻す」ことを前提としますが、良いカウンセリングでは「変えがたい自分」を認め、その性質のままどう生きるかを重視します。「なおす」という前提がカウンセリングの苦しさの原因になることは非常に多いです。
 

Q3:自分を「受容」するとは、具体的にどういうことですか?

A3:自分の繊細さや性質を「なおす対象」として否定するのではなく、「自分の一部」として認め、それを前提とした生き方にシフトすることです。これは賢明な「あきらめ」であり、自分のまま生きるための積極的な戦略です。その具体例を、私のメルマガでご紹介していますので、参考になさってみてください。
 


まとめ.自己受容のタイミングが来ていませんか?

 
しのぶかつのりの写真

 
いかがでしたでしょうか。
 
「楽になりたい」と思ってはじめたカウンセリングが苦しくなってしまうのは、いったいなぜか?
 
それは、あなたが自分の本質・・・、つまり「変えがたい自分」に気づき始めている証拠かもしれません。
 
「問題解消型」の社会の風潮に流され、無理に自分を「なおそう」とすることは、自分自身を否定しつづける過酷な作業です。

もし今、カウンセリングが苦しいと感じているなら、一度立ち止まって「自己受容のタイミングではないか」と自分に問いかけてみてくださいね。
 
カウンセラーの多くは受容の訓練を受けていますが、受容な苦手なカウンセラーもいますし、そもそも受容の訓練を受けてすらいないカウンセラーもいるのが実情です
 

参考記事
カウンセリング VS 友人・家族への相談|わざわざお金を払って相談する価値はあるのか?
カウンセラーにとっての受容の限界について解説しています

 
どうか5つのチェックポイントを活かして、無理に「なおす」というサイクルから脱け出していただければ幸いです。

「ふつう」を目指して自分をゴリゴリと削るのではなく、自分の苦しみをもチカラに変えて生きていく。

その第一歩は、今の苦しみの中に隠れた「変えがたい自分」を認めることからはじまります。
 
Brain with Soul代表
生きづらさ専門カウンセラー
しのぶかつのり
 


 
LinkIcon本当に役に立つ「カウンセリング活用辞典」:目次
 カウンセリングを受けてきた当時者であり現役カウンセラーでもあるしのぶかつのりが、本当に役立つカウンセリングの効果的な利用方法を「超・当事者目線」で紹介する、カウンセリングの活用辞典です。

 


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